受験世界史の中で「文化史」は約10%を占め、その中で「イスラームの文化史」が1〜2%を占めます。受験では1点、2点の差で合否が決まるので侮れないです……
本記事では、受験世界史の「イスラームの学問」について解説します
*イスラーム史前半の『通史』は以下の記事をどうぞ!
関連:世界史の【イスラーム史】がごちゃごちゃしちゃう?【イスラーム史】の覚え方と勉強法を教えるわ
*またイスラームの言語、アラビア語についてはこちらをどうぞ!
関連:難しい?!アラビア語のおすすめ参考書と勉強方法【初心者〜中級者編】
スポンサーリンク
イスラーム文明の特徴
イスラーム文明は、イスラーム教とアラビア語が中心で、いろ〜〜〜んな地域の文化とミックスしながら生まれた「融合文明」「融合文化」が特徴です!
「イスラーム帝国」とも呼ばれるアッバース朝はイランやインド地方にまで勢力を拡大しましたが....
民族の差別には「NOOO!!!」の立場で、イスラーム教徒の平等を強く説いたイスラームは、以下のような文化の融合を実現させました
- イラン=イスラーム文化
- トルコ=イスラーム文化
- インド=イスラーム文化
その土地の文化をうまく取り入れつつも、イスラームを浸透させ、特徴的・特異的な文化がうまれました
都市文明のイスラーム
商人の大都市メッカでイスラームが生まれたこともあって、さらに大きな特徴は「都市文明」だったことでした
- モスク:宗教施設
- ミナレット:尖塔
- マドラサ:学校
- スーク:市場
- ムスタシュファー:病院
のような人が多く集う都市ならではの施設もつくられ、たくさんの人でにぎわってたとされます
アッバース朝のバグダード(今のイラクの首都)やマムルーク朝のカイロ(今のエジプトの首都)は突出した存在感をはなつ大都市でした
こうした大都市には人・モノ・情報が集まり、学問のガチ勢が登場する準備がととのっていきました
イスラームの固有の学問
イスラームの世界ではイスラーム世界ならではも学問が発達します。これを世界史では『固有の学問』と呼んでます
- アラビア語:言語学
- イスラーム教:神学・法学
- ハディース:歴史学
がイスラーム信仰のなかから生まれた学問になりました。受験世界史で覚えておきたい有名な学者と業績をまとめます
タバリー@アッバース朝
アッバース朝のイラン系のイスラーム神学と歴史学のハイブリットなインテリ!
クルアーンの注釈書の『タフシール』や
ムハンマドの言行(話して行ったこと)とされる史料を集めて整理した年代記『預言者と諸王の歴史』を残しました
「40年間、毎日40枚、歴史を書き続けた」の言葉で知られるタバリーの勤勉さに見習うとこがありますねー
ガザーリー@セルジューク朝
セルジューク朝時代に活躍したイスラーム教神学者のガザーリー
ニザーミーヤ学院(イスラーム神学の学校)のイスラームスンナ派の教授でした
ある時、冷静な視点から宗教を分析する神学の研究と、感性・感情の信仰心の矛盾に悩んだあげく、放浪の旅にでて、ユニークな神秘主義思想をうみだしました
イブン・ハルドゥーン@チュニス(ハフス朝)
チュニス出身のイスラーム歴史家のイブン・ハルドゥーン!
「国家はどのように生まれて、どんな要因で発展して、何が原因で衰退していくのか」の関心を、都市と遊牧民の関係を中心に考察した超キレッキレな人物です
歴史の発展の法則性を書いた『世界史序説』は絶対に覚えておきましょう
関連:アラブの大歴史家イブン・ハルドゥーン」って頭キレッキレ!歴史を知る目的を彼は教えてくれた!
フィルドゥシー@ガズナ朝
当時のアフガニスタンの首都ガズナにひらかれた王朝、ガズナ朝の詩人!イランの国民的詩人とも呼ばれてます
約6万の対句からできてるイランの神話・伝説・歴史を物語の叙事詩『シャー=ナーメ』(王の書)を書き上げました
*イランの歴史で「シャー」がたくさん登場しますが、日本語の「王」の意味です
ウマル=ハイヤーム@セルジューク朝
数学者・天文学者・文学者として活躍しました。セルジューク朝の、マリク=シャーの時代の宰相(首相に値する)の、ニザーム=アルムルクにスカウトされました
そして、当時のイランの暦を、より精密な数学でアップデートした「ジャラーリー暦」を完成させました
*難問*
慶應義塾大学文学部の入試問題で「ジャラーリー歴」が出題されました⬇︎
オマル=ハイヤームはセルジューク朝のスルタンに招かれて、非常に正確な太陽暦の作成を指導した。この暦は何と呼ばれているか。
ラシード=アッディーン@イルハン国
イルハン国はフラグの西アジア遠征によって、1260年にできたモンゴル系の国家です
そこで活躍した政治・歴史家がラシード=アッディーンです。ガザン=ハンにつかえて、彼のイランのイスラーム化政策を手伝いました
ラシード=アッディーンの業績は、ペルシア語でモンゴル帝国の歴史を書いた『集史』を抜きに語れませんね
*椅子に座るガザン=ハンとその前に立ち膝でいるラシード=アッディーン
アラブ人のユニークな学問
イスラームの文化のイスラームとクルアーンの「固有の学問」を中心にまとめました!
別記事にまとめますが、この「固有の学問」ではない「外来の学問」も同じようにイスラーム文化史では大切です
「固有の学問」「外来の学問」ともに、人物と作品・業績の対応を覚えられたらパーフェクトでしょう!
*諸説ありますが、このように中世のイスラームの学問が開花した背景には、コーヒーが関わってるようです
コーヒーのカフェインは頭を覚醒させて、知的パフォーマンスを高める効果があります
水もなくビールを常飲してた中世ヨーロッパと血がって、中世のイスラームでは多くが知識人がでてきたのもこんな背景があるんですね