時空を超えて残り続ける言葉たち。そして影響を持ち続ける言葉たち。
今回は、受験世界史の必須『名言』をまとめます。
語り継がれる理由は、本質を突く意味深さがゆえ。
この言葉を聞いて、何を思うか、何を感じるか。
世界史上の名言の世界へ誘いましょう
スポンサーリンク
- 「教皇は太陽であり、皇帝は月である」
- 「アダムが耕し、イヴが紡いだ時、誰が貴族であったか」
- 「君主は国家第一の下僕」
- 「今やカルタゴも炎上しつつある。次に来るものはローマであろうか」
- 「目には目を、歯に歯を」
- 「万物は流転する」
- 「人間は生まれつき政治的動物(ポリス的動物)である」
- 「人民の、人民による、人民のための政治」
- 「第三身分とは何か。全てである」
- 「大きな夢を見よう。大きな夢だけが人の心を動かす。」
「教皇は太陽であり、皇帝は月である」
中世の教皇といえば、インノケンティウス3世
中世ヨーロッパの世界はすべてがカトリックの世界に包まれてました
カトリック教皇の「俺TUEEEEEEE」を標榜する言葉ですね
イギリスのジョン王を『破門』、世俗の王様たち圧倒しました
この時の『破門』は死刑宣告よりも怖いもの。「世界の終わり」的な刑だったのです
「アダムが耕し、イヴが紡いだ時、誰が貴族であったか」
国はイギリス、聖職者のジョン=ボールの言葉です
封建社会が崩れつつあった、14世紀の終わり頃の話、大きな農民一揆が起こりました
アダムとイブはこの世で誕生した人間、「耕す」は男の仕事、「紡ぐ」は女の仕事の代名詞的なもの
重税・賦役は重荷以外のなんでもないですよね
「人間が生まれた時ってみんな平等だったよね?!今?!ふざけんなよ!!」
って怒りが爆発した、中世の激動の瞬間を体現するセリフなのです
「君主は国家第一の下僕」
「啓蒙専制君主」の典型のフリードリヒ2世(プロイセン国王)の言葉!
これまでの絶対主義の時代の価値観が変化して、
「国王だからと言って贅沢三昧するんじゃなく、国を富ませて戦いに勝って、国益を増大させる為に、誰よりも努力するのが理想の君主だろう!」って意味です
下僕(げぼく)とは国民にこきつかわれる意味ではありません
国民を代表して「国家」という集団・組織の利益と繁栄の為に奉仕するということです
あのフランスの啓蒙思想家、ヴォルテールとの接近によって、影響を受けたとされます
「今やカルタゴも炎上しつつある。次に来るものはローマであろうか」
ローマとカルタゴによって地中海世界の覇権を争った『ポエニ戦争』
第1〜第3回ポエニ戦争まであり、前3〜前2世紀の間繰り広げられました
カルタゴの名将「ハンニバル」は第2回のカンネーの戦いでローマ軍に大勝
しかし、ローマ軍のスキピオ(可愛い名前)の指揮によって逆襲と殲滅作戦が炸裂しました
その時のスキピオによる言葉で、「いつかはローマも滅びる」は600年後に的中しました。
「徹底報復の上に成り立つ平和」を「カルタゴの平和」と呼びますが、第一次世界大戦後のヴェルサイユ体制も「カルタゴの平和」と皮肉的に呼ばれ、結果的にヒトラーを生み出しました・・
「目には目を、歯に歯を」
「やられたらやり返す、倍返しだ!!!」
とは若干ずれますが、古代バビロニアのハンムラビ大王による『ハンムラビ法典』の超有名な一説!
「目を潰されたら相手の目を潰し、歯を抜かれたら相手の歯を抜くべき」
という応報の思想を端的に表現したものですね
条文の本当の目的は、『同害報復』を要請するものじゃなくて、際限なく続いてしまう報復を禁止にして、限度を設定すること!
あとがきには、「強者が弱者を虐げないように、正義が孤児と寡婦ともに授けられるように」と書かれてることから、奴隷や弱者への一方的な報復にストッパーをかける役目があったのです
「万物は流転する」
古典期ギリシャの自然哲学者!万物(世界の全てのもの)の根源を探求した人の言葉です
彼など、イオニア自然哲学は
- 「万物の根源は水である」:タレス
- 「万物の根源は数である」:ピタゴラス
- 「万物の根源は無限である」:アナクシマンドロス
をはじめとして、この世界のものの根源(ルーツ)を探し求めました
ヘラクレイトスは、根源を『火』ってとなえますが、根源は一定のものじゃなくて、
常に変化していると強調します。故にそのもとになるのは『火』ってことです、彼曰く。(むずい!!!)
「時は遊び戯れる子供」って言葉も残して、同じものの『永劫回帰』を説き、ニーチェの先達とも言われてますね
「人間は生まれつき政治的動物(ポリス的動物)である」
ギリシャ哲学の巨人、アリストテレスの言葉!
人間は、お互いに「善いと思う」ものの為に共同しながら生活する点で、他の動物と異なる!
アリストテレスの『政治学』には
共同することのできない者、自足しているので共同することをまったく必要としない者は、ポリスのいかなる部分でもない。したがって,その者は獣であるか,さもなければ神である。
と書かれており、『共同』は疑いもなくキーワードです
犬や狼は人間に育てられても犬や狼に変わりませんが、
人間は人間に育てられないと人間になれません
古代ギリシャに都市国家(=ポリス)ができた後、人々の集住の中に生まれたシステムに関する鋭く深い考察です
「人民の、人民による、人民のための政治」
1863年、アメリカ大統領のリンカーンがペンシルバニア州のゲティスバーグで行った演説中の一節!
government of the people, by the people, for the people
- 「人民の」は、政治の主体(政治に関する全ての意思決定する者)は、人民であること!
- 「人民による」は、人民によって選ばれた議員や人民全体への奉仕者たるべき公務員によって政治が行われること!
- 「人民のための」は政治を行う目的は、人民の福祉の向上にあってそれ以外ではないこと!
「of」「by 」「for」の3つの前置詞と日本語の助詞との訳の一致に関して、
激しい議論が繰り広げられてたみたいですが、今は上記の訳に落ち着いた模様です
「第三身分とは何か。全てである」
時代は『フランス革命』
1789年、「第三身分とは何か。全てである。今日まで何であったか。無である。何を要求するのか。それ相当のものに。」と題するパンフレットをパリの民衆に配りました
フランス革命前の制度(アンシャン=レジーム)は、聖職者・貴族・王族中心のもので、平民としての第三身分は、農奴で負担は異常なほど重く、参政権さえ与えられてませんでした。(税金はめちゃくちゃ多いし、それを変える手段も無いわけです)
一つの国民が存続し、繁栄していくためには何が必要であろうか。私的労働と公的職務である。私的労働はすべて、四つの種類に概括できる。1.農耕‥‥2.製造業‥‥3.商業・卸売業‥‥4.学術・自由業から家事奉公まで‥‥。社会を支えているのは以上のような労働である。それらを担っているのは誰か。第三身分である。
と、シェイエスは語り、フランス革命の生みの親と言われるほどです
絶対王政の言論統制の厳しい時代にも関わらず、勇気ある言葉を発信したシェイエス
彼の姿勢からは多くの学びがありますね
「大きな夢を見よう。大きな夢だけが人の心を動かす。」
個人的に世界史上で1番大好きなキャラクター、ローマ帝国五賢帝最後の皇帝、マルクス!
ローマ大帝国の皇帝の顔を持ちながら、禁欲主義のストア派の哲学者の顔も持ったマルクス
人を巻き込む「カリスマ性」と僕たちが呼ぶものを、彼は無意識に備えていたのでしょう
誰だってやりたいこと、叶えたいことがあるはず
堂々と語りましょう。それが、人の心を動かし、気持ちを変化させ、考え方を変え、行動させます。あるいは、自分自身が変わって結果に繋がるかもしれません
彼が生きたのは今から1900年前のローマ帝国
これほど長く受け継がれてる名言は少なく、時代横断的な変わらぬ『本質』がそこにあるから、残り続けているのです
以上、『世界史』の名言をだらだらと書いてみました。
ただ、まだまだ名言はこんなもんじゃありません。忘れてはなら無いものはもっとあります
なので、随時更新して追加していきます。『世界史名言集』にしていきたいですね〜