荒涼と広がる砂漠の世界、隊商交易のラクダ乗りたち、命を繋ぐオアシスの泉。
アラビアンナイトの世界観がとても有名でしょう。
乾燥気候が厳しく、砂嵐が頻繁に発生する中、みなぎるエネルギーを放つ木が生息してます。オアシスのシンボル的な存在です。
それが、「ナツメヤシの木」!!
ヤシの仲間で砂漠気候に強く古代文明の頃からこんな姿で、図太く生えてました
出典:ナツメヤシ | サプリメントの情報サイト「サプペディア」
で、アラブ世界の人々は、この「ヤシの実」を取って食べる慣習があったのです。
一見遠くから見ると、南国に生えてそうなヤシの木とヤシの実ですが
近づくと、生命体たる生命体がたくさん身をつけてぶら下がってます。
すごい重たくずっしり・・・ぶどうの房どころじゃありません。いつ落ちてもおかしくありませんが、これがまた落ちない。絶妙な重さコントロールがそこにあります。
出典:Why it is healthy to eat dates in Ramadan | Arab News
野生の力でこれほど実るとはすごい。しかもこのぶら下げてる果実は、古代エジプトの頃(紀元前3000)にワインの材料としても使われてました。
もちろん生産・栽培技術がまだまだ未発達な段階でした。けれどなんとかしてもカロリーを取ってやろう、生き延びてやろうという人類の熱も伝わってきます・・・!
「生命の実」デーツ
この「ヤシの実」が、通称「デーツ」と呼ばれる生命の果実なのです。
イスラーム教が誕生する600年前半の時期よりも、さらに昔から実る。
イスラーム教が誕生した後も、アラブ民族を中心とした人たちと共にありました。
現地の言葉のアラビア語では「タムル」といいますが、
通常の「タムル」=「デーツ」はこのように乾燥させたものなのです!
イスラーム教の創始者ムハンマドもかつてはこう言ったのです。
「デーツのない家は、食べ物の無い家と言っても過言じゃないやろ」と。
しかもイスラーム教の神(アッラー)から受けた啓示の「コーラン」では、
「神の与えた食べ物」
と書かれているのです。その場所の食文化はそのまま宗教に反映するんですね、びっくり。しかも、旧約聖書にはエデンの園に生えている身を食べることで、永遠の命をゲットできると書かれてるのですが、その「生命の木(セフィロトの木)」のモデルが、デーツのなる木、「ナツメヤシ」と推測されます・・・
こうして砂漠の民族は「デーツ」を生活の一部と一体となって今にいたるのでした
そこで、どうして「生命の実」と言われるのか?!が肝心なところっ
「デーツ」の持つ味・栄養とは?!
まずは、日本人としての僕が感じた味覚を食レポ!
中東砂漠地域の「一口サイズの干し柿」じゃないか!と食べた瞬間ビビビッときました・・・乾燥させただけのドライフルーツなので、果実のもつ甘さが最大に引き出されのかな!そして外側は乾いた食感だけれども、中身は思った以上にしっとり!優しい甘さが疲れた脳にくるぅぅ!そんな感じっ!
「生命の実」と呼ばれた理由として
デーツ1粒食べるだけで砂漠地帯で1日を生きることができる。
ほんまかいな!?と思うかもしれませんが、真実みたいです。
サハラ砂漠を横断した隊商交易は、食料調達はめちゃめちゃハードです。
このデーツをラクダに積んで、皆で分け合うほど、己の生命をもこの実にゆだねてたわけですね〜
それもそう。ヒトのエネルギー源となる炭水化物の含有量がすごい。
バナナは、100gあたり22gくらいに対して、デーツは72gという、凄まじいエネルギー。
バナナはスポーツとか勉強のエネルギー補給に最高とあれほど言われてますが、
その3倍もの量を持ってるデーツは、なんとバナナ以上にバナナ。
科学的な栄養学が発展すると、その健康効果も発表されました
炭水化物の他に、ミネラルをたくさん含んでいるデーツは・・
- 貧血予防・妊娠中の栄養補給(葉酸たっぷり)
- ストレス耐性・精神安定(パントテン酸たっぷり)
- 便秘・むくみ改善(食物繊維たっぷり)
- 美肌効果(ビタミンB群たっぷり)
- 血糖値の上昇を抑える糖尿病予防(亜鉛たっぷり)
こんなにも健康を作ってくれるなんて。
乾燥の厳しい砂漠環境にそびえる生命の樹木からの恵は凄まじい・・
「ラマダーン(断食)」の時に効果を発揮!
イスラーム教には、宗教イベントのラマダーン(断食)はあります。
これは、特定の1ヶ月(イスラーム歴の9月)の間の日の出から日の入りまで間は、一切の食べ物を口にしないというもの。(こりゃあきつい・・・・)
ラマダーンについて、詳しくはこちらを参照くださいねっ
ファスティング(断食・長期空腹)した経験ないですか?!
軽い頭痛だったり、なんかイライラしたり、低血糖でぼーっとするんですよね
「早く食べ物入れてくれー!じゃなきゃおらやばい!」 人間としての命が悲鳴をあげてるんです
そこで、この「デーツ」がめちゃめめちゃ理にかうんです。
断食が終わって、夜を迎えた瞬間に、イスラームのみんなはデーツを1粒パクリといくんです。上で書いたような栄養素が全ての断食症状を和らげて、体をメンテナンス・リカバリーするのです
バナナよりも、デーツは消化がとっても緩やかで徐々に徐々に体が回復していくプロセスを感じていけるという。回復して体の調子が戻ったら、いよいよ本格的なごはんタイム。
そんな、イスラームの宗教文化と「デーツ」は切っても切れない関係だったんですね。
しかも単に宗教的な意味合いというよりも、もっと根本的な栄養の面で必要不可欠なものに。
砂漠にそびえる生命の樹木とその生命の果実のパワーを感じてみてはいかがでしょうか!
おしまいっ
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