2022年の高校の新入生から、55科目中27科目が新設または大幅アップデートされることを知っていましたか?!
- 「え!!センター試験廃止って聞いたけど勉強の中身も変わるの!!」
- 「おおぉおお今までやった勉強はどうなるんや!!
- 「え、でも時代の変化が感じられますな〜!」
いろんな期待と不安を反映する意見があるかと思います
本記事では僕が専門でやってる歴史学の視座から、2022年度から新設される科目の【歴史総合】について紹介します
スポンサーリンク
【歴史総合】はそもそもなに?!
今もこれまで僕たちが勉強してる地理歴史科の科目は、世界史AとB、日本史AとB、地理AとBでした
これが大きく変わって登場するのが【歴史総合】って科目なのですが、これは、日本史Aと世界史Aを統合した科目だとざっくり理解しても大丈夫です
*補足で、これまでの日本史Bと世界史Bは、それぞれ『日本史探求』と『世界史探求』としてまた生まれ変わります!
関連記事:世界史(グローバルヒストリー)に向いているタイプって?!【世界史選択か日本史選択か問題】
この【歴史総合】の特徴はなんといっても、日本史と世界史がくっついていること!
これまでのAの科目では部分的な日本史・世界史でしたが、世界からみた日本、日本からみた世界史を俯瞰したグローバルヒストリー的な視点で学ぶのが超ポイント!
スポンサーリンク
【歴史総合】の扱う時代区分は?
そう、ただ世界史と日本史をただ単に統合してしまうと、分量が異常に多く、履修者の負担がえぐいことになります
東京大学の文系入試では日本史・世界史で受験する人がいますが、暗記量はもう笑えるレベルに膨大です
そこで【歴史総合】が扱うのは、日本史・世界史の近現代の時代区分になります
世界の産業革命やウェストファリア体制の確立、市民革命などの『近代化』や『国際秩序』などをテーマを重視し、特に学ぶ生徒が今生きている現代に繋がる知見を深めるのが狙いですね
日本と世界、世界と日本の関係をひろ〜い視点でとらえ、地球全体を俯瞰した上で社会の事象を考えられる生徒が育まれるでしょう。まさに『グローバル人材養成』の科目!
歴史中の出来事を今の自分ごとととらえて、教訓としていかすのは歴史学の真髄なので、僕はこの点で賛成です!
ただ・・・・・
やっぱり問題点も指摘されてる?
【歴史総合】が新設されることで、新たな問題も浮上してきそうです・・・
あのアラブの大歴史家「イブン・ハルドゥーン」は『歴史を学ぶ意義は、その法則性の発見にある』と名言を残しています
彼は人間社会を俯瞰し、社会学の発展に貢献した歴史家なのですが、法則性(パターン)を過去からあぶりだすのが歴史を学ぶ上で大切だとします
関連記事:アラブの大歴史家「イブン・ハルドゥーン」って頭キレッキレ!歴史を知る目的を彼は教えてくれた!
グローバル化の時代では、急激に社会構造が変化しますよね・・・AIとかAIとかAIとか!
で、テクノロジーの発展が人々の仕事を奪って代わるものになったのは、古代から中世においても、『歴史』の中で常に起こり続けている法則(パターン)です
はたして・・
- 「この法則性のようなものを近現代からの歴史だけを学ぶことで気づけるのか?!」
- 「気づけた法則性を未来にいかす教訓するために十分な史実に触れることができるのか?!」
新設の【歴史総合】を勉強する上で、現代のグローバル社会で活躍する実学的な能力を養えるけれども・・・
古代・中世から続く長い歴史の中から、法則性や歴史的教訓の発見に関しては、かなり情報量も限られているため難しいのでは・・との問題点です
単純に日本史と世界史を合体させると情報量が異常になるのもわかります・・・なので現実的な提案として『近現史』となるのも納得です
でも・・・
スポンサーリンク
過去の積み重ねを忘れないで欲しい
過去の出来事の積み重ねと繰り返しで、「今」が構成されています
『近現代』の歴史は、国際秩序の形成と急激な経済的な発展に象徴されますが、
それよりも前にあった苦悩の歴史、不便を乗り越えた歴史を忘れずに、どこかで触れる機会をつくることが肝になるのかなって!
兎にも角にも、世界からみた日本、日本からみた世界をひろ〜い視点で学習する【歴史総合】の誕生は、日本の教育史上大きな事業であるといえるでしょう
- 「さあ、教科書はどうやって作ろうか・・?」
- 「歴史総合の高校教員をどのように養成すべきか・・?」
- 「大学入試との整合性はどうやって・・・?」
- 「歴史学研究も変えていく・・・?」
といった歴史学と高等教育全体からみた大きな見直しが行われて、あーだこーだを無限に繰り返しながら、2022年に【歴史総合】の全貌が姿を現すことでしょう
ひろ〜い視点で世界をみて、歴史の中の法則の発見を・・これからのグローバル・ヒストリーに期待ですね!